事例

「こども音楽フェスティバル 2025」公式ビジュアル制作

2025.05.03

インクルーシブなアートを使用したクリアファイル

インクルーシブなアートを使用したクリアファイル

音を感じ、音を描く——感性が彩った音楽フェス。 「こども音楽フェスティバル 2025」の公式ビジュアルに、2つのワークショップで生まれたアートワークが採用されました

2025年5月3日〜6日、サントリーホールおよびアーク・カラヤン広場で開催された「こども音楽フェスティバル 2025」(主催:公益財団法人ソニー音楽財団/公益財団法人サントリー芸術財団 サントリーホール)では、一般社団法人konstの監修のもと、障がいのあるクリエイターと株式会社ソニー・ミュージックソリューションズのデザイナーがワークショップを通して共創したアートワークが、公式ビジュアルとして活用されました。

アートワークはフェスティバルに先立ち、2つの場所で実施したワークショップから生まれました。 ひとつは、加須げんきプラザで行われた、埼玉県難聴児(者)を持つ親の会のお子さんたちとのアート制作。音をテーマに、自由な発想で作品づくりに取り組みました。 もうひとつは、青山特別支援学校でのワークショップ。「ピーターとおおかみ」の楽曲を題材に、音を“形”として表現する創作活動が行われました。

会場では、トートバッグをつくるワークショップと、ワークショップで制作されたアートワークの展示会が実施され、多くの来場者がこどもたちの表現に触れる時間を過ごしました。展示された作品は、当日配布されたクリアファイルやワークショップ用トートバッグのデザインにも展開され、会場全体に彩りを添えるとともに、「誰もが楽しめる音楽フェスティバル」というテーマを体現しました。

どちらのワークショップでも、こどもたちが音楽を全身で感じ取り、それぞれの方法で表現することで、音楽の楽しさや豊かさを視覚的に伝えるアートが誕生しました。

制作されたトートバッグ
音楽フェスティバルのロゴを配置する様子
ワークショップに取り組む参加者の女の子
完成したトートバッグを持つ姉妹

上より右回り:1.完成したトートバッグ、2、3.会場でのワークショップの様子、4.姉妹で制作したトートバッグ

ワークショップ全体企画

「こども音楽フェスティバル 2025」では、誰もが音楽を楽しめる場を目指し、一般社団法人Konstの協力のもと、音を感じて表現するワークショップを企画しました。 参加したのは、難聴の子どもたちや特別支援学校の生徒たち。それぞれの感性で「音」をかたちにし、アートとして表現する取り組みです。

彼らが生み出した作品は、フェスティバル当日の配布物やワークショップ素材として活用され、会場全体に彩りを添えるとともに、アートと音楽が交差する新しいフェスティバルのかたちを提示しました。

加須げんきプラザでのワークショップ:「コエのカタチ」

2025年2月16日、埼玉県・加須げんきプラザにて、「埼玉県難聴児(者)を持つ親の会」の会合に参加した難聴の子どもたちとともに、「コエのカタチ」というワークショップを実施しました。

子どもたちは、自分の声を使ってアートをつくるというユニークな体験にチャレンジ。ビニールを貼ったボウルに塩を撒き、そこに向かって大きな声を出すと、塩の表面に音の波紋が現れます。 その波紋を絵の具を塗った紙に写し取ることで、自分の「声」がかたちとなり、唯一無二の作品が完成しました。

最初は声を出すのをためらっていた子どもたちも、誰かの声に引き寄せられるように次第に大きな声を出しはじめ、会場は自然と笑顔と歓声に包まれていきました。

膜を張ったボウルに大声て叫ぶ参加者

コエのカタチワークショップ

声の波紋を紙に写しとる参加者

協力:埼玉県難聴児(者)を持つ親の会

東京都立青山特別支援学校でのワークショップ:「オトのカケラ」

2025年2月28日には、東京都立青山特別支援学校の生徒たちとともに、「ピーターとおおかみ」の楽曲を題材にしたワークショップ「オトのカケラ」を開催しました。

まず音楽を聴き、そのイメージを膨らませて、さまざまなかたちのパーツ(=オトのカケラ)を使って版画の原版を制作。 続いて、自分でつくった版に思い思いの色をのせて、作品として紙に刷り出していく、2部構成のワークショップです。 音から受け取った印象を「かたち」と「色」で表現するこのプロセスは、生徒たちの想像力を大きく広げ、個性豊かで温かみのある作品が数多く生まれました。

パーツを並べている様子

オトのカケラワークショップ

並べたパーツに色をつけてる様子

協力:東京都立青山特別支援学校

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。今後も多様な人々が交わる創造の場を広げてまいります。