レポート

ALL SONY FESTIVAL 2025 ファミリーデー"extra" ─Creative Vision Project 「サコッシュづくりワークショップ」開催

2025.09.16

休日のオフィスで広がる創造体験── 2025年9月13日(土)、ソニーシティ(本社)で開催された ALL SONY FESTIVAL 2025 ファミリーデー"extra" にて、株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ(SMS)の Creative Vision Project が「サコッシュづくりワークショップ」を実施しました。
人気声優や芸人のパフォーマンス、オーケストラ演奏などでにぎわった会場。その一角で開かれたワークショップでは、子どもたちがサコッシュづくりを通じて多様性とインクルージョンを体験しました。

広い会場で多くの子どもと保護者が机に座り、サコッシュ作りのワークショップに参加している。スタッフが青いTシャツを着てサポートしている。

親子連れで賑わう会場の様子

子どもたちに届ける「ちがうってすてき」

ワークショップの冒頭では、SMSスタッフが「多様性」と「インクルージョン」を子どもたちに向けてわかりやすく説明しました。

「多様性は“ちがうってすてきなこと”。インクルージョンは“ちがいをだいじにして、いっしょにたのしむこと”。」 短くやさしい言葉に置き換えられたメッセージに、子どもたちはうなずきながら耳を傾けていました。

たとえ最初の説明でうまく理解できなくても、ワークショップそのものがサコッシュづくりを通して多様性とインクルージョンを“体験できる仕組み” になっています。子どもたちは楽しむ過程の中で自然とその意味にふれていきます。そして、その積み重ねが、多様性とインクルージョンを感じ取る体験へとつながっていきます。

SMSスタッフががマイクを持って説明する様子。背後のスクリーンには「みんなちがって、みんないい」というスライドと子どもたちのイラストが表示され、観客が座って聞いている。

多様性とインクルージョンについての説明に聞き入る来場者

6種類のアートシートから始まるデザイン

今回使用したのは、ソニー希望・光株式会社のスタッフとSMSデザイナーが共創してできたアートを使った6種類のアイロンプリントシート。これらのシートは、2025年8月4日に実施された 3つのアートワークショップ(「コエのカタチ」「写真の上に描くアート」「ハートビート・アート」)を通して生まれた表現からデザインされています。関連ニュース記事→

たとえば「コエのカタチ」では声の振動で砂が模様を描き、「ハートビート・アート」では脈拍のリズムが抽象的な動きを生み出すなど、ワークショップごとに異なる体験から育まれた表現が、6種のシートに凝縮されています。

色彩豊かな6枚の抽象画が並んでいる。それぞれ異なる色や形の表現で描かれている。

3つのワークショップから生まれたアイロンプリントシート

6枚の中から気に入った1枚を選んだ子どもたちは、具体的な形を描かない抽象的なシートを手に取り、「これ、動物みたい!」「ここを切り抜いたら面白いかも」と、第一印象から広がる発想をふくらませながら、自分だけのデザインへとつなげていきました。

やがてハサミを手にした子どもたちは、小さなパーツを組み合わせて模様を作ったり、大胆に大きな形を切り出したりと、それぞれの発想を形にしていきます。親子で相談しながら進める姿は、その豊かな想像力を映し出していました。

子どもと大人の手が一緒に布製バッグの上に切り抜かれた模様を配置している。手元のアップ。

親子でデザインを考える様子

子どもがハサミでカラフルな模様の紙を切っている。手元のアップ。

イメージを切り出す

女の子が机でサコッシュに切り抜いた模様を配置している。隣に大人が座ってサポートしている。

思いのままにパーツを配置

家族と一緒に広がる創造力

今回はSMS事務局スタッフに加え、クリエイティブ部門から3名、さらにアート制作で協力いただいたソニー希望・光株式会社の職員の方々もファシリテーターとして参加。

子どもたちのユニークな表現を見て「こちらが想像もしなかった発想に驚かされた」と言いながらも、悩んでしまっている子にはあらかじめ切り抜かれたシートを渡してアドバイスしたり、面白い表現には素直に感想を伝えたりと、創作意欲がふくらむ場作りに貢献していました。

スタッフと女の子が机で一緒に布バッグに模様を貼り付けている。女の子は大きなハート型のデザインを作業中。

参加者にアドバイスするスタッフ

サコッシュに広がる彩りと家族の物語

完成したデザインはスタッフがヒートプレス機でサコッシュに転写。 熱が冷めて台紙をはがすと鮮やかな模様が布地に浮かび上がり、その瞬間に歓声があがりました。

会場のあちこちでは、サコッシュを首から下げて歩き回る子どもたちの笑顔が空間に彩りを添えていました。ある参加者の子どもは「これ、ぼくの初めてのバッグだよ」と誇らしげに話しながら、大事そうに首にかけていた姿がとても印象的でした。

また、子どもと同じ熱量で切り抜き作業に取り組む親御さんや、親子で一緒に合作を仕上げる姿も見られました。兄弟での参加も多く、「そっちはどんなのができた?」「こっちはこんなのだよ!」と作品を見せ合いながら楽しむ様子は、家族ならではのあたたかい交流を感じさせるものでした。

スタッフが専用のプレス機を使ってバッグに模様を熱転写している様子。子どもが横で見守っている。

ヒートプレスの様子

子どもたちの発想から生まれた作品たち

ヒートプレスを終えて台紙を剥がし終わると、会場のあちこちで子どもたちが親にうれしそうに完成品を見せる姿が見られました。スタッフに「これなあに?」と聞かれると「これは虹!」「これはおばあちゃんとおじいちゃん!」と笑顔で説明し、親もまた、その様子を誇らしげに見守っていました。会場全体があたたかい雰囲気に包まれていたのが印象的でした。

「宇宙みたい!」「赤い鳥のようで気に入った」「きれいな色だったから」――シートを選んだ理由や完成した感想には、子どもたちの自由な発想と素直な驚きがそのまま表れていました。

2人の子どもが完成した布バッグを持って並んでいる。片方のバッグには星や稲妻の模様、もう一方にはカラフルな風船のような模様がデザインされている。

カッコいいものがいっぱい&かわいいかばん

小さな子どもが完成したバッグを持っている。バッグには様々な形の色鮮やかな模様が散りばめられている。

タコ・サンカク・トンネル

子どもが完成したバッグを持っている。バッグには多くのカラフルな石や星の形の模様が配置されている。

きょうりゅうのうちゅう

子どもが布バッグを肩にかけている。バッグにはカラフルな抽象的な形や星の模様が貼り付けられている。

うさちゃんにじバック

子どもが完成した布バッグを両手で持っている。バッグには赤い丸、木、月夜のような風景がデザインされている。

夜空をながめる少女

女の子が布バッグを持ち上げている。バッグには大きなリボン型と複数のハート模様が配置されている。

ハートとリボン

作品を手にした子どもたちの誇らしげな笑顔からは、自分でつくったものを大切に思う気持ちが伝わってきました。サコッシュに込められた小さな物語は、会場に彩りを添えるとともに、家族で過ごした特別な一日の記憶として残っていきます。

インクルージョンを“体験する”時間

このワークショップで完成したサコッシュは、障がいのあるクリエイターの表現に、子どもたちや家族の自由な発想が重なって生まれたものです。 ここには“ちがい”を大切にしながら共に創る体験があり、インクルージョンの価値を自然に感じ取ることができます。

同時に、Creative Vision Projectは、こうした共創アートを商業デザインに活用し新たな価値を生み出す取り組みを進めています。今回のワークショップは、その実践として商業デザイン活用とインクルーシブなエンタテインメントの場の提供を一体で実現したものでもあり、社会的意義とビジネス的価値をともに育む活動となりました。

そしてこれからもSMSは、こうした取り組みを通じて、インクルーシブなアートを社会とビジネスの両面に広げていきます。

2人の子どもが完成した布バッグを持って並んでいる。片方のバッグには星や稲妻の模様、もう一方にはカラフルな風船のような模様がデザインされている。

完成したサコッシュと記念撮影

※ソニー希望・光株式会社:
ソニー希望・光株式会社は、就労意欲のある障がい者に、個人の成長と自立を実現する雇用機会を提供することを目的としたソニーの特例子会社です。個性を活かした職場環境のもと、多様な業務を担当しています。