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「インクルーシブデザインの力」社内セミナーを開催― ファンコミュニケーションの現場から始まる、インクルーシブデザイン実践の第一歩 ―

2025.10.07

2025年10月7日(火)、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下SMS)のCreative Vision Project(CVP)とMDビジネスカンパニーの共催による社内セミナー「インクルーシブデザインの力」が開催された。会議室とオンライン配信を合わせて、70名を超える社員が参加。グッズ制作担当はもちろんのこと、アートディレクターやデザイナーなど、アーティストビジネスに携わる多様なメンバーが部門の枠を超えて集まり、熱心に耳を傾けた。

オンラインと会場をつなぎ、発表スライドを共有しながらインクルーシブデザインを学ぶセミナーの様子。

会場での受講の様子

エンタメにおける「インクルーシブデザイン」の可能性を探る

本セミナーは、CVPとMD戦略部マーケティング課プランニングルームが共同で進める『2030年の推し活再定義プロジェクト』の第一弾プログラムとして実施されたもの。 普段はアーティストグッズの企画・製造・販売までを一気通貫で担う同カンパニーが、今後のエンタテインメントビジネスに欠かせない視点=インクルーシブデザインを組織に根づかせようと企画した。

講師を務めたのは、ソニーグループ株式会社 サステナビリティ推進部 アクセシビリティ&インクルージョングループ ゼネラルマネジャーの西川文氏と、同グループの金澤悠人氏。 前半では西川氏が、世界的な高齢化の進行や社会の多様化を背景に、ソニーグループ全体で推進されるアクセシビリティ&インクルーシブデザインの事例を紹介。

インクルーシブなライブで提供される、手話通訳者・振動ベスト・感覚バッグといった配慮設計の事例を交えながら、 「アクセシビリティは特定の人のための特別な対応ではなく、年齢や障がいなど個人の特性や能力、環境にかかわらず、すべての人の体験価値を高める基盤である」と語った。

講師がセミナー中にインクルーシブデザインの考え方について説明している場面。

西川文 氏

“推し活×インクルーシブ”がもたらす新しい体験

後半のトークセッションでは、視覚に障がいのある金澤氏が、自身の「推し活」体験をもとに、 ライブ参加時に感じる課題と、その中で見つけた希望を語った。

「サポートをお願いしたくても、どこに連絡していいか分からない。 スタッフが忙しそうで声をかけづらい。 そんな状況で、“今回はやめておこう”と思ってしまうことがあります。」

さらに金澤氏は、エンタテインメントの現場で感じた可能性について、次のように語った。

「最近、ある実証実験に参加したのですが、コンテンツの内容をより理解できてとても楽しむことができたんですね。エンタテインメントの分野では、障がいの有無にかかわらず楽しめる取り組みがまだまだたくさんあるのではないかと感じました。その上で大切なのは、当事者と一緒に作ることなのではないかと思います。」

セッションの中で繰り返し語られたのは、「インクルーシブデザインは“特別な配慮”ではなく、“より良いエンタメ体験”そのものを生み出す考え方」だということ。

メガネをかけた若い男性。黒いジャケットを着用し、さわやかな笑顔で会議室の聴衆に語りかけている

金澤悠人氏

「一緒に作る」ことから生まれる発見

金澤氏は、企業や開発側だけではなく、当事者と共に考える重要性を繰り返し語った。

「当事者自身も“仕方ない”と諦めてしまっている不便さがある。それを共有し、一緒に気づいていくことで、新しい価値が生まれると思います。」

続く西川氏のまとめでは、次のように語られた。

「ソニーでも、すでに多くのインクルーシブデザインの事例が生まれています。“推し活”というテーマでしたが、アクリルスタンドなどの“推しグッズ”のように、一つの文化やイノベーションが生まれる背景には、インクルーシブな視点があると思います。
音声認識や自動運転といった技術開発においても、インクルーシブデザインが取り入れられています。 今日のお話が、みなさんの新しい“ネクスト・アクスタ”を考えるきっかけになればと思います。」

セミナー終了後も講師を囲み、質問や意見を交わす社員の姿が絶えず、関心の高さが感じられた。

若い男性が、スマホを見ながら説明している。周りでは3人の女性が熱心に説明を聞いている。

お気に入りの推し活グッズについて説明する金澤氏

セミナー後の交流時間、参加者たちが机を囲みながら質問や情報共有を行っている様子。

SMSスタッフからの質問に答える西川氏と金澤氏

CVPとともに進む“インクルーシブな推し活”プロジェクト

セミナーを終えて、MDビジネスカンパニー MD戦略部の原田美保部長はこう語る。

「本日のセミナーは、誰かの不便さを解消するということは、全員の快適をもたらす可能性があると強く思わせてくれました。 発想の転換、視座を変える必要性を強く感じました。「推し活」という観点でインクルーシブデザインを取り入れ、よりファンに寄り添えるMDグッズの開発を目指していきます。」

そして、この取り組み全体を統括するプロジェクトリーダー 傳馬智巳さんは次のように語る。

「当事者の方と一緒に考えることで、これまで見落としていた価値に気づくことができる。 多様な視点が交わることで、ものづくりの可能性は大きく広がると感じました。 今後はインクルーシブデザインのワークショップを通じて、 多くの方が楽しめる体験や商品づくりへつなげていきたいです。」

MDビジネスカンパニーのプロジェクトスタッフ原田さんと傳馬さん。窓際で二人の女性が微笑みながら立っている。

(左から)プロジェクトを進めている原田部長と傳馬さん

インクルーシブデザインは、エンタテインメントの楽しみを「すべての人」に届ける。
SMSは、この考えを自社のビジネスのなかで実践しながら、誰もが自然に楽しめるエンタテインメントの形を、追求していきます。

※MDビジネスカンパニー:
MDビジネスカンパニーは、ソニー・ミュージックソリューションズにおいて、アーティストおよびキャラクターコンテンツを軸としたファンコミュニケーション事業を展開する部署です。グッズ企画・制作から品質管理、物販スペース企画・運営、販売データ管理・分析までを一貫して担い、会場導線や販促設計、売り場運営など現場ノウハウを活かすことで、ファン体験と収益性の両立を目指しています。

参加者が発表を真剣に聞き入りながらノートを取る様子。背景には登壇者のスライド映像が映し出されている。